サラリーマンをしているため、税金のことはさっぱり・・・と言う方が多いのではないでしょうか?それもそのはず、税金は給与から天引き(源泉徴収)され、支払い(所得税、住民税)も勝手にやってくれるからです。この税金を自動で徴収してくれる仕組みは、株を売って利益が出た場合や配当金をもらった場合も同様です。特定口座開設時に、「源泉徴収あり」を選べばいいのです。これは便利である一方で、本来納めなくてもよい税金が差し引かれることがあります。今回は、子どもを例にみていきましょう。
全員が持っている「税金がかからない枠」
具体例から理解したほうが分かりやすいので、まずケーススタディです。子供が株を売却したところ、利益が出ました。税金を納めなくてはならないのはどれでしょうか?
- 1万円の利益がでた
- 10万円の利益がでた
- 100万円の利益がでた
正解は、
3の100万円の利益がでた
です。ではなぜ1,2の場合は税金を納めなくてもよく、逆に3の場合は税金を納める必要があるのでしょうか?そして、税金納める/納めないの境界線になっているのでしょうか?
非課税枠こと基礎控除
世の中には難しい言葉で書くと、基礎控除(きそこうじょ)という枠組みがあり、所得に対して一定額を非課税として差し引くことができる制度のことです。この控除によって、納税者が負担する税金の額を軽減することができます。
そのため、この非課税枠に収まっていれば税金を納める必要はありません。ちなみに、基礎控除は、所得税や住民税などの税金に適用されます。
いくらまでなの?
税金は大きく2つの納め先があり、税務署経由で国に納めるもの(所得税)と市町村などの自治体に納めるもの(住民税)があります。ここがわかりにくいところなのですが、この2つで非課税枠である基礎控除が異なるのです。
- 所得税における非課税枠
- 所得税の基礎控除額は2020年(令和2年)から変更され、一律48万円となりました。
- 住民税における非課税枠
- 住民税の基礎控除額も同じく2020年(令和2年)から変更され、一律43万円となりました。
つまり、43万円が税金を納める/納めないの境界値となります!ただし子供の場合は、境界値が上がります。具体的には、以下のいずれかの条件を満たす場合は、住民税が両方とも非課税となります。
東京都主税局│個人住民税
- 生活保護法による生活扶助を受けている人
- 前年の合計所得金額が市町村の条例で定める額以下である人
- 同一生計配偶者、または扶養親族がいる場合
前年中の合計所得金額について、「35万円×(本人、同一生計配偶者と扶養親族の合計人数)+31万円」で算出した金額が条例で定める額以下- 単身世帯の場合
前年中の合計所得金額が45万円以下- 障害者、未成年、寡婦またはひとり親で、前年中の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4,000円未満)
ケース1:住民税の非課税額は45万円まで!?
上記条件の2から、株の利益が45万円未満であれば、住民税がゼロとなります。
具体的なケースとして子供について考えると、そもそも未成年(18歳未満)であれば以下で説明する135万円までが住民税非課税であるため、この45万円未満という条件を使うことはなさそうです。
ケース2:一番聴いてくるのはこれ!未成年の場合は135万円まで
上記条件の2から、株の利益が135万円未満であれば住民税がゼロとなりますが、所得税は48万円までのため、所得税も住民税も納めなくてよいのは、結果として48万円未満となります。
でも通帳を見ると、税金が引かれている・・・
しかし、子供が株を売った場合でも、利益から税金が引かれていませんか?配当金も同じく税金が引かれていますよね。
これは口座を源泉徴収ありにしているためであり、税金を納める手間を省いてくれる代わりに、本来必要のない人、つまり子供でも自動で税金が納められてしまうのです(デメリット)。
ちなみに、配当金は特定口座を「源泉徴収なし」にしても、源泉徴収されます。この仕組みについてはここで詳細を説明しています。
納めすぎてませんか?税金を返してもらいましょう。
税金は正しい額を納めましょう。少なすぎるのも、多すぎるのもNGです。
具体的なやり方はこれを参考にしてください。